ゆくゆくはそれぞれ

あるいたりはしったり、とまってみたり。

30分一本勝負⑥  #わたしの自立

生まれてからずっと実家暮らしでした。

甘えてるな〜。大学の頃からそう思っていたのは確かです。「実家暮らし=甘え」という方程式を持っていた私は、実家暮らしを選択していながらも心のどこかに一人暮らしへの憧れがあったのです。

 

高校は電車で往復2時間かけて、大学と最初に勤めた会社も電車で往復2時間かけて通ってました。友人たちは皆口を揃えて「一人暮らししないの?」と聞いてきましたが、2時間ずっと座って通勤できる電車も嫌いではなかったのです。眠れるし、読書だって勉強だってできる。ぼーっと考え事をするにはうってつけの空間でした。

大学の頃はバイトも地元でやっていたし、友人も大学で会えばいい程度であったし、飲み会も好きではないし、恋人もいませんでした。両親からは一人暮らししてもいいけど、その時は奨学金を借りなさいと言われて、手続きや後々の返済を考えると面倒臭くなってしまい、結果、実家に暮らすことを選びました。

社会に出てから、一人暮らしをするか少し迷いましたが、私の役職が住宅手当が出ないのと3年間の任期付という条件であったので、お金を貯めるため、また実家暮らしを選びました。

 

そんな私ですが、去年初めての一人暮らしを体験しました。インドネシアで。

好きな時間に好きなことをする生活は初めてで、最初こそ戸惑いはありましたが、次第にそこに魅力を感じていきました。国内外は関係無いのです。ご飯を食べたくなかったら食べなくても、忙しくて部屋がグチャグチャのまま出て行っても誰も何も言いません。最高!

また、部屋そのものにも責任を持つようになりました。もともと自分のスペースの掃除と片付けが苦手でした。学校や職場ではむしろ潔癖症かと言われるほど汚れには厳しかったのですが、自分のこととなると一気にやる気が失われてしまうのです。汚れが目についてもまぁこのままでもいいかと自分自身に言い聞かせてしまいます。親の教育上、子供の頃は自分の部屋を持っておらず、自分のスペースであってもそこは誰かと共有のもので、私にすべての責任があるわけでは無いと思ってしまっていたのでしょう。しかし、一人暮らしをして部屋が綺麗でなかったり、ものが乱雑に置かれていたりするのが耐えられなくなりました。「ここは私の部屋だ」という意志が強くなったのだと思います。

 

そんな一人暮らしを経験して、今はまた実家に暮らしています。

待っていればご飯が食べれて、お風呂も入れて、なんでもやってくれる。実家暮らしにはそんなイメージがあります。昔の私もそうでした。しかし、我が家はそんなに甘くありません。私より拘束時間の長い仕事を両親はしているので、自然と私が家にいる時間が長くなります。両親も昔のように若くなく、仕事をするだけで疲れてしまうのが近くにいるからこそわかってしまう。今では私も掃除や洗濯、料理などをするようになりました。

自分のスペースも過ごしやすいように机を買って模様替えしてみたり、断捨離をしてだいぶスッキリしました。自分が住む場所への責任感が一人暮らしを経て身についたのだと思います。

一人暮らしだけが自立と考えていた私も今はもう変わりました。もちろん、一人暮らしへの憧れが無いわけでは無いのですが、家を出る必要性が出た時に、出ればいいかな、そんな気持ちです。

結局自立とは、自分自身に責任を持つことなのです。住む場所、生活、人生…誰かが決めるのではなく、自分で選択して決める。それでその場所で生きる。それができて初めて自立、だと思うのです。

 

10月8日 げし